自彊術

先日、とある患者さんへ呼吸が浅いので「しっかりと運動して便を出し深い呼吸が出来る様になるといいですね!」っと話をすると「それじゃ自彊術とか良さそうですね!久しぶりにやってみます。」という返事が帰ってきました。

この患者さんは、いろいろな健康法や養生法を調べて姑さんに行っていた経験があるため私の知らない情報をたくさん持っていて毎度勉強になります。

さて、人生で一度も聞いたことのなかった自彊術なのですが調べたところ大正5年に中井房五郎という手技療法士が考案した治療法に代わる体操だそうで、31の身体の動かし方を約15分毎日行う事で健康になるというものだそうです。

youtubeで自彊術と調べたところ動画が見つかり、その動画と患者さんの指導のもと一緒に行ってみました。

独特の呼吸法を行いながら身体を動かすのですが、深く息を吸える点、全身を動かせる点、機械を用いない点、短い時間で行える点など優れている点が多かったです。

しかし、慣れるまでしばらく修行が必要ですね。

現在、幸いなことに私は悪いところはあまりない(あっても自分へ鍼を刺して研究しているうちに改善してしまう)ので効果を感じれるかはわかりませんが、素晴らしい点が多く面白そうなので続けてみようと思います。

某患者さんいつもありがとうございます!

温灸について

先日のブログにて殿村先生より身体を温める事の大切さについて書いていただきました。

そこで、温灸を行う理由と温灸の種類について書いていきます。

先ず、温灸を行う理由なのですが、人の身体は基本的に全身に温かい血液が巡り筋肉などがエネルギーを消費し熱を発生させます。

ですので、基本的には体は温かいのですが、なんらかの原因により、血液が上手く巡らなかったり筋肉や臓器器官などの機能が低下し熱を産生しなかったり、汗をかいて身体を冷やしたり、寒いところに長時間いたりなどして身体を全体的または局所的に冷やしてしまいます。

そのようになると、いずれ身体に不調を起こすと思いませんか?

そんな時に温泉や湯船に入ったり適度な運動することにより全体的に身体を温めてくれます。

しかし、それでも冷えてる人は多いのです。

そんな時に私たちが行うのが「お灸」というものなのです。

「お灸」は温熱効果だけでなく、そこへ火傷という形で炎症を作り血管を開き熱を発生させやすい状態を作ります。

しかし、「お灸」は良いのはわかっていても熱いし痕が残るし毎日出来る気がしません。

そんな時に使うのが「温灸」なのです。

「温灸」は火傷を作らない分「お灸」に比べて効果は薄い点はありますが、それを有り余るほどの利点があります。

・ほぼ火傷を作らない。

・温かいだけであまり熱くない。

・継続しやすい。

・広い範囲で温める事ができる。

長くなるので他の効果に関しては割愛しますが、「温灸」は継続して温める事が出来るという点ですごく優秀なのです。

さて、当院で使っている温灸を紹介していきます。

・せんねん灸

言わずと知れたドラッグストアなどに置いてある一般的な「温灸」です。

当院に来ていただければ適切なツボへお灸を指導させていただきます。

どこか辛い症状のある方へオススメです。

・箱灸

これは誰でも自作して自宅で出来るように作ったダンボールで出来た箱灸です。

これは主にお腹や背中・お尻など広い範囲で温めたい時に使います。

自分で動かせるので熱さを調整しやすい、しかし芯から温かくなる事が特徴です。

お風呂が苦手な方、身体が冷えきっている方へオススメです。

またいずれ自分で作れる箱灸のワークショップを開催する予定なので、ご興味のある方はご連絡ください。

身体の冷えは人それぞれ理由があります。

ベストは当院へ一度ご来院いただき、どこが冷えていてどこを温める事が良いのか指導させていただく事ですので、お気軽にお越しください。

下北

とあるパーキンソン病と診断された方の話

私が今までみてきたパーキンソン病と診断された患者さん達は基本的に動きや痛みはもちろん震えであったり歩行など時間はかかるものの、いろいろな症状に改善がみられた方が幸いにも多かったのですが、姿勢反射異常と鬱症状だけがどうにも難しいことが多いです。

鬱症状の方は、2回ほどの施術で寝たきり状態から一部介助で立位を取れるようになり少しづつ効果が現れてきたかと思えば「これ以上良くならない感じがするし疲れたのでもういいです。」っと断られましたし、姿勢反射異常の方は施術後は腰が伸ばせるようになり歩行も施術前と比べて格段に良くなりながらも普段からあまり腰を伸ばす癖がつかず3〜4日程してから伺うとまた腰が曲がってしまい少しづつ歩行が困難となっておりました。

側弯症のキツイ方でしたので「普段からなるべく腰を伸ばして養生して欲しい」と伝えるもやはり腰が「くの字」に曲がった状態が真っ直ぐだと感じている様子で、お薬やリハビリやパーキンソン病の症状もあり普段の暇な時間に伸ばす機会というのはあまりとれていない様子で、どんどん症状が進むのを止める事が出来ないといった状態でした。

そこで、ここ2回程いつもとアプローチを変え腰を伸ばすことに特化した方法に変えるようになってから格段に腰が伸びやすくなりコルセットを巻かなくても歩行がスムーズに行えるようになってきてるではありませんか!

このまま姿勢が良くなり、また一緒に散歩出来るようになるかと思いワクワクしています。

便秘についての養生まとめ

長くなりましたので便秘についてのまとめを作っていこうと思います。

1.排便反射が起こるように便を我慢しないようにしましょう。

2.毎日3〜5分ほどトイレに座る習慣を作りましょう。

3.乳幼児は排便習慣の習得過程にあるので、便回数でなく便の状態を気をつけましょう。

4.呼吸が浅い、運動不足や不眠など一見関係ない症状からでも便秘になるのでしっかり運動しましょう。

5.食べるものが偏っていたり食物繊維や水分をあまり摂らないと便秘になるので食事に気をつけましょう。

6.ストレスを溜めすぎて発散できなくても便秘になるので運動・カラオケ・温泉など自分にとって気持ちの良い発散方法を見つけましょう。

7.冷たいものを飲食しすぎても便秘になるので温かいお茶やお湯などを飲みましょう。

8.気持ちの良い程度の運動・睡眠・食事・体重を心がけましょう。

9.とりあえず困ったら当院へいらしてください。

便秘について(東)

今回は、東洋医学の観点から便秘について話して行こうと思います。

先ず東洋医学の世界ではざっくり身体の生理作用を構成するもの「気・血・水」という概念があります。

気はエネルギー

血はガソリン

水は運動で発生した熱を冷やすラジエーター

という形で考えるとイメージしやすいかと思います。

その「気血水」のバランスが崩れた時に身体の不調という形で便秘などの症状を現します。

では、これまたざっくりとですが分類分けをしていきます。

①気が滞って多くなったタイプ(エネルギーが多すぎて熱がある)

身体の中の気(エネルギー)が滞って熱暴走してるイメージを持っていただけると理解しやすいです。

体が熱く感じたり、のぼせ、口が渇くなどの症状が見られます。(火がメラメラと上へ昇るイメージ)

便は細く、残便感があり、放屁が出る、お腹が張ったような感じがする事が多いです。

この場合、ストレス過多になりイライラして発散出来ていない場合が多く感じます。

気持ちのいい程度に運動して汗をかく事をオススメします。

②熱が溜まりすぎてるタイプ

なんらかの原因により身体に熱(気)が過剰になって身体を冷ますために水分を使うため便が硬く出にくい状態です。

①の症状に加え、汗かき、口臭が強い、体臭が気になる、赤いにきびが出る、暑いのが絶えられない、寝付きが悪い、興奮しやすいなどなど熱に関連する症状が出ます。

便が硬く、便秘の期間が長い、出した後のお尻の穴が熱い、臭い便が出る事が多いです。

甘いもの脂っこいものやお酒などの暴飲暴食をするなど火に油を注ぐような事はやめましょう。(このタイプはお腹が減りやすい事がありますのでお気をつけて)

このタイプは熱が強いため適度な散歩程度からスタートする事がオススメです。

③気が少ないタイプ(エネルギーが少なくて出す力や身体中にガソリン(気血水)を送る力がない)

身体の中の気(エネルギー)が少なく出す力が弱いタイプです。

集中力が持続しない、疲れやすい、風邪を引きやすい、朝起きられない、寝起きが悪い、食後に眠くなる、むくみがち、胃腸が弱いなど

排便困難、排便に時間がかかる、大便の出始めが硬く、あとは軟らかい、排便後に疲れるなど便が出ない事が多いです。

しっかり身体を温め、冷たいものや消化に悪い物をとらず、ダイエットせずエネルギーとなるものをしっかり食べて散歩程度から始めてください。

過労がたたってる可能性があるのでスマホやTVなど見て夜更かしせずに早めに寝てください。

④冷えてしまっているタイプ(エネルギーが不足しすぎて冷えてしまっている)

身体を温める力が弱く身体が冷えているため腸の動きが弱く、便が出にくいタイプです。

寒がり、むくみやすい、夏でも寒がる、寒い日やクーラーに当ると体調不良になる、トイレが近い、オリモノが多く透明、冷たい飲み物や食べ物が苦手と③の強いバージョンだと考えてください。

ですので、このタイプの便は排便困難・排便がスムーズに行かないなどの症状が出ます。

とにかく身体を温めてください。

お灸が一番効果がありますが、おしりやお腹、手足を温めるや身体を冷やすものを食べない。基礎代謝を上げるため、しんどくない程度にしっかり運動するなど特に気をつけてください。

⑤血が足りないタイプ(ガソリン=栄養不足)

ガソリン(血)が不足してガソリン(血)の不足のため腸内の栄養できず潤いが不足し、便が硬くなってしまう状態です。(エネルギーをたくさん使い起こることもあります。)

兎糞状のコロコロ便、硬くて出にくいという状態になります。

症状は寒がり、肌荒れしやすい、乾燥肌、めまいや立ちくらみがする、手足が冷える、しびれる、髪に潤いが無く、ぬけやすい、不眠、不安感がある、年のわりにしわが多いなどが起こる事があります。

ガソリン(血)が足りないので、しっかりした食事を取る事を心がけましょう。(好き嫌いせずに偏った食事もNG・生理中はなるべく安静にして夜更かしなどもやめましょう)

もちろんエネルギー(気)を使いすぎている場合もありますので、ストレスを減らす事、スマホなどを触りすぎない事、よく寝る事などを気をつけて、疲れない程度に運動しましょう。

⑥水が不足しているタイプ(冷やせないし潤いがない)

全身の潤いが不足していることが特徴で潤い不足のため、腸内の滑りが悪く、便の水分も少なくなってしまう状態です。

めまい、かすみ目、頬が赤くなりやすい、のどが渇く、手のひら、足の裏が熱い、寝汗、尿が濃く少ない

乾燥して硬いコロコロ便がでたりします。

このタイプは身体が火照りやすく水が不足しているもしくは水を摂取しても直ぐに排泄してしまうタイプです。

単に水を摂ればいいじゃないかとお想いになるかと思いますが、危険です。

胃腸に負担をかけて症状がキツくなる場合があります。

少し汗が出る程度の運動を行い、温かい飲食物を摂り、スマホなど無駄にエネルギー(気)を使う事を避けて早く寝ましょう。

最後に気をつけて欲しい事はこの分類分けは結果でありそこで問題を起こしているわけではありません。

例えば、人生という名の道を車で運転していて障害物(問題)に出会ったとしましょう。

その障害物(問題)を無理矢理進んで通路を作るのに沢山のエネルギー(気)が必要になります。

必然的にガソリン(血)が必要となり、熱暴走しないために冷やす(水)が必要となり、解決可能な量の「気血水」を使い突破します。

しかし、その障害物(問題)が大きかったり新しい障害物がどんどん出てきたらどうでしょう?

それを解決するために、より多くのエネルギー(気)が必要となってきます。

しかし、そのためにはガソリン(血)やラジエーター(水)が必要となるのですが限りがありますし、そのガソリンなど(気血水)を作る器官に異常があったら目も当てれません。

だから、私たち鍼灸師は脈を見て「気血水」の流れは適切であり順調か?

腹や背中などを見て「気血水」を作る器官が問題が起こっていないのか?

経絡や症状のあるところをみて何が原因で不調を起こしているのか?

もちろん、問診によって今現在の症状、過去の症状や生まれ持った体質、どのような仕事に就いてどのようなストレスがかかるのか、食事や睡眠や便の質、しっかり運動出来ているかどうか、体重の急な増減はないか、そしてそれをどの程度把握して、どの程度無理して頑張りすぎて身体から発せられるSOSを見て見ぬふりをしているのか?

っといったところを見ていくのです。

ですので、便秘に効くツボは!?っと問われても身体の状態や反応による!しか答える事が出来ません。(もちろん特攻穴的なものはありますが…)

それに、②のタイプの患者さんが冬でも氷をびっしり入れたジュースを飲んでいたため、それをやめて1週間温かいお茶に変えてみてはいかがですか?と提案したところ便秘が嘘のように改善したこともありました。

たしかに東洋医学は不思議な事もありますし便利です。

しかし、その方がなにで困っていてそのためにどうすれば良いかをツボを押したり刺したり焼いたりするだけでなく問題を一緒に考えて解決に向かっていくことこそが東洋医学の真髄でないかと私は思います。

蛇足が長くなりましたが、便秘についての話を終わります。

長い間ありがとうございました。

福岡セミナー

昨日は、私が所属している長野式臨床研究会のセミナーを福岡で開催しました。

少人数でセミナーを行ったのですが、受講生の皆様の熱意と節度ある行動のおかげでとても充実したセミナーとなりました。

感染予防対策として換気や消毒、フェイスシールドの着用といった基本的なところから電車でも人に接触しないよう対策し、ホテルへも直行し、せっかくの福岡ではありますがコンビニのご飯で終始しました。

はやくコロナが終息しますように!

便秘の続き

前回の便秘について書いていたのがあまりに長すぎたので、続きをどうぞ。

3.便秘の種類について

便秘の種類は大きく三つに分かれます。

①器質性便秘この器質性の便秘には生まれ持ったもの(先天性)と生まれた後に出来たもの(後天性)があります。

先天性の便秘は結腸の壁内神経叢の先天的欠如(ヒルシュスプリング症とも言われ腸管の筋肉を動かすなどをする神経が無くて腸が拡がって動かない状態)やS状結腸過敏症などがあります。

後天性の便秘は閉塞性イレウス(腸管閉塞)・大腸癌・骨盤内の臓器の腫瘍・手術後の癒着などによる腸管内の狭まりなどがあります。

②症候性便秘

この症候性の便秘は、脊髄損傷・脳血管障害・パーキンソン病・甲状腺機能低下症・糖尿病など他の疾患の部分症状として便秘が起こるものをいいます。

③機能性便秘

この機能性便秘は、鍼灸院で比較的よくなりやすい便秘です。この便秘を解消できるか否かで今ある症状(便秘だけでなく肩凝りや頭痛など)が改善されるので要チェックです。

④弛緩性便秘

腸管の運動が低下・緊張の減弱によって内容物の通過が遅くなり、水分が多く吸収されてしまい便が固くなるもの。(高齢者・寝たきりに多い)

⑤痙攣性便秘

副交感神経(便を出す神経)の過緊張により腸管運動が強くなり、痙攣状態になり便秘が起こるものを言います。ウサギが出すようなコロコロ便になります。(過敏性腸症候群に起こりやすいと言われてます。)

⑥直腸性便秘(習慣性便秘)

直腸に便が入っても、加齢による筋力低下により排出出来ない。習慣的に便意を抑制することで排便反射を起こりにくくする事で起こります。(排便抑制の習慣や下剤の乱用により起こりやすいです。)

⑦腹圧の減弱による便秘

腹圧の低下により便の排出困難により便秘が起こります。(妊娠、肥満、老化、寝たきり、呼吸困難、運動不足などで起こりやすいです。)

4.便秘をきたす疾患

最後に便秘に関連する主な疾患を紹介していきます。

「私、便秘だからこの病気かも!」っという危機感は大切だと思いますが、必ずしもその病気になっているわけではありません。

気になる方は病院で精査してもらうか、改善するように便通はもちろんのこと呼吸・睡眠・食事・運動・体重を適切に保つよう練習していきましょう。

①生活習慣

便秘を我慢、運動不足、水分摂取や食物繊維不足が便秘の原因となります。

②薬剤

緩下剤の慢性的な使用や鎮痛薬、鉄剤、カルシウムやアルミニウムを含む制酸剤、カルシウムチャネル拮抗薬、三環系抗うつ薬のような抗コリン薬はよくみられる原因となるそうです。肛門鏡で腸粘膜の褐色色素沈着が認められた場合、ヒマシ油アントラキノン系緩下剤が乱用している可能性あり。

③うつ病

便秘は、気分や認知の障害、その他の自律神経症状と関連して現れる一般的な身体症状です。

④過敏性腸症候群

若年で発症して長期にわたる経過があり、差し込むような腹痛とそれに続く排便、腹部膨満感、鼓腸、便秘がみられます。腸の過度の収縮運動は排出力には乏しく、ウサギの糞のように小さく硬い便になります。症状はストレスにより強くなります。

⑤大腸癌

50歳以上でよくみられます。

がんが進行し大きくなると血便、便通異常(便秘・下痢)、腹痛、便の狭小化(便が細くくなること)、体重減少などの症状が現れます。

また、がんの発生する場所によっても症状が異なります。

⑥閉塞性イレウス

悪心・嘔吐・周期的に反復して起こる激しい腹痛、お腹の張り。オナラも出にくいです。

⑦パーキンソン病

止まっている時に震える、筋肉が強張り身体がスムーズに動かなくなる、仮面様顔貌、歩行障害(すくみ足・ちょこちょこ歩き、歩き始めたら止まらない)、姿勢反射障害(真っ直ぐ立てない座れない)、前かがみ、起立性低血圧、精神症状(うつ症状・認知症)など

⑧低カリウム血症

カリウムの役割には、体液の浸透圧調整、筋肉の収縮、神経伝達を助ける、などがあります。したがって低カリウム血症になると、消化管や筋肉、腎臓、神経系に障害を受けやすくなります。

筋力低下や筋肉痛、悪心、嘔吐、便秘、痙攣などの諸症状から、重度になると四肢麻痺や自律神経失調、筋肉痙攣、呼吸筋麻痺、不整脈、麻痺性腸閉塞などに至ります。

夏場に大量に汗をかくなどをすると起こりやすいです。

⑨高カルシウム血症

血液中のカルシウム濃度が高い状態のことを指します。

軽度な場合は無症状のことが多いですが、重度(カルシウム濃度が高い)な場合はだるさや疲労感、食欲不振、便秘などの症状が現れます。

また身体への影響としては、不整脈の原因になり、生命に関わる場合があります。

なぜ便秘が起こるのかというと、神経細胞のナトリウムチャネルが阻害されるため、神経の興奮を抑制します。

他にも便秘をきたす症状はありますが、あまり書き過ぎると止まらなくなるので以上で終わらせていただこうと思います。

次回は東洋医学から見た便秘について書いていきます。

便秘について(西)

今回は便秘と下痢について話そうとしましたが、なかなかボリューミーになったので2部構成で西洋医学的な便秘についてお話しします。

目次

1.便秘について

2.乳幼児の便秘について

3.便秘の種類

4.便秘をきたす疾患

1.便秘について

便秘とは3〜4日以上に一回のペースで出る排便で、しかも便が極端に固く、細切れであったり、大きかったり、便の先端が固い場合をいいます。

2.乳幼児の便秘について

ちなみに排便習慣の習得途上にある乳幼児においては、便回数のみで「この子便秘だ!」っとするのは早計です。

乳幼児の便秘は、便回数のみでなく、むしろ同時に存在する症状(便の性状、排便困難症の有無、便に血が混じっていないか、腸の動き、腹部膨満感の有無)に気をつけるべきです。

乳幼児の便秘の原因分類として

①腸内容が少なくて固い、直腸が細く、十分に肛門括約筋が緩まないなどの生理的な障害。

②直腸の内容物を押し出すのに必要な力がない。

③排便に必要な反射障害。

④直腸肛門への感受性の消失。

です。

①は、哺乳量の減少、幽門狭窄症などによる嘔吐性疾患、体温上昇に必要な水分を与えられていない時、人工乳の濃度を濃くした場合などがあります。

②は。ヒルシュスプリング病があります。

これは、腸管壁の神経細胞が先天的に欠損しているため起こります。その他、2次的な原因による腸排出力の不足としては、感染による中毒症や甲状腺機能低下症があります。

③は、腸以外の神経異常があった場合で、例えば脊髄性麻痺などがあげられます。

④は、排便したいと感じる感覚が鈍感となり、極端に大量の便により反射が起こるという場合、いわゆる女性に多い慢性便秘や心因性便秘症がこれに入ります。

次回は便秘の続きを書いていきます。

よろしくお願いします。

排便中枢について

前回お話しさせていただいた排便反射の脊髄の中枢(排便中枢)は第2〜4仙髄にあり、脊髄肛門中枢という名前がつきます。

実際には交感神経(便を溜める神経)は腰髄下部に排便中枢があり仙髄だけではありません。

直腸に便が溜まると排便反射を起こすと共に上位中枢(延髄など)にも伝えられて大脳に達して便意を感じます。

それに加えて排便中枢は近くに排尿中枢があるため便を出すと尿も出ることがあります。

それとともに排便の上位中枢は延髄に存在し、嘔吐中枢や呼吸中枢とは密接に関係していると言われています。

たとえば、悪心・嘔吐・吐き気が起こっている時に排便すると軽快することや、呼吸停止の患者さんに応急的に肛門を拡張させると呼吸が起こるのは密接な関係があるからと言われてます。(だからと言って呼吸停止をしている人がいた場合、肛門を広げず先ずは119へ連絡してください。)

小児の場合、一歳以降の幼児から肛門括約筋を緊張させ排便をコントロールすることが出来ると言われています。

つまり便秘気味な幼児は交感神経(便を溜め身体を緊張させる神経)が優位になり直腸を緩め内肛門括約筋を収縮させ、随意筋(自分で動かせる筋肉)である外肛門括約筋の収縮を高め、さらに便意を我慢してる場合肛門挙筋をも収縮させ肛門周囲をさらに閉鎖させるのです。

ですので、もしかしたら不安だったり何か伝えたかったり我慢してたり、おしゃべりが出来ない幼児の言葉にならない言葉なのかもしれません。

大人もそうです。

大人も我慢してたり無理してたりして身体がSOSを発しているのかもしれません。

私たちはそのような事でお困りな方へ最大限寄り添い答えに向かってサポートしていければと思います。

次回は便秘と下痢についてお話しします。

あともうしばらくなのでお付き合いください。

ぶりぶり

排便反射

大腸の運動により便がたまってくると、便の重量、総蠕動により直腸へ溜まってきます。

直腸へ便が溜まり直腸壁を伸ばすと、骨盤神経を介して脊髄の排便中枢に刺激が伝わると排便反射が起こります。

この直腸壁の伸展が排便反射に重要で必ずしも量の問題ではありません。

下痢の時を思い出していただくと少量でも便が出る事があるのは、直腸壁が伸展して排便反射が起こって強い収縮を起こすからです。

そして排便反射に関係している筋肉は自律神経に関係してきます。

交感神経(身体を緊張させる神経)は直腸を緩ませ、肛門括約筋を縮めて、逆に副交感神経(身体をリラックスさせる神経)直腸を縮めて肛門括約筋を緩めます。

要するに便を溜めるのは交感神経が、便を出すのは副交感神経が優位になり便を出してくれます。

そして、便を出す時は横隔膜・腹壁の筋肉で腹圧を高めて排便を促します。

要するにリラックスして大きく呼吸が出来る身体の状態であれば、理論上排便を促す事ができます。

もちろん食べる内容や量、身体をしっかり動かせているかなども大切になってきます。

しかし、人前や便を出してはいけない状況で我慢をすると、排便抑制の刺激が神経を介して肛門括約筋を緊張させ便意は消失します。


このように排便を我慢する機会の多い人は、やがて機械的な刺激によって便意を感じにくくなり、慢性便秘症に移行し易くなります。

出来れば、便意を感じたらトイレへ行ったり無駄におならを我慢しない、朝方などに5分程度時間を決めトイレに座る機会を作り排便反射を起こしやすい状況を作り便を出す習慣を作る(出す必要はありません。)などを行うことも必要かと思います。

次は便の話ばかりで申し訳ありませんが排便中枢についてお話します。

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